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背中の痛み

背中の痛みとは

背中の痛みとは、背中の筋肉、骨、椎間板、神経などの組織が、筋肉の過緊張や外傷、変性、姿勢の悪化などによって生じる不快感や痛みを指し、日常生活や作業の質に大きな影響を与える症状です。

背中の痛みは、筋肉の緊張、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、姿勢の悪さ、外傷、ストレスなど、複数の要因が関与しています。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの情報によると、特にオフィスワーカーや高齢者において、背中の痛みは非常に一般的であり、適切な診断と治療が健康維持に不可欠であるとされています。

多くの臨床研究では、背中の痛みの原因に応じた治療(例えば、理学療法、薬物療法、生活習慣の改善)が、症状の緩和とQOLの向上に効果的であることが示されています。

以下の表は、背中の痛みに対する診断および治療の一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・背中全体または局所的な鈍痛や鋭い痛み
・肩甲骨周辺の違和感やこわばり
・長時間の座位や立位で悪化

日常生活や仕事中に集中力低下、動作制限が生じる

原因の例

・筋肉の過緊張や姿勢の悪さ
・椎間板の変性やヘルニア
・外傷、ストレス

要因を特定し、適切な治療方針を決定

診断方法

・問診、身体検査
・画像診断

病変の正確な把握、重症度の評価

背中に起こる主な症状

背中に起こる主な症状は、局所的または広範囲にわたる鈍痛や鋭い痛み、こわばり、可動域の制限、そして場合によってはしびれや疲労感などがあり、これらは筋肉、骨、椎間板、神経の異常や変性によって引き起こされます。

以下の表は、背中に起こる主な症状とその背景、及び一般的な影響の一例を示しています。

症状

具体例・説明

背景・原因

鈍痛

長時間のデスクワーク後に感じる、持続的な鈍い痛み

筋肉の疲労、姿勢の悪さ、慢性的な筋緊張

鋭い痛み

急な動作や外傷によって発生する、局所的な鋭い痛み

外傷、急性の組織損傷、急激な負荷

こわばり・可動域制限

朝起きた際や長時間の同一姿勢後に感じる、背中の動かしにくさ

椎間板の変性、関節の硬直、筋肉の硬直

しびれ・感覚異常

特に脊椎の神経根圧迫に伴い、足や腕、または体幹部に広がるしびれ

神経圧迫、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症

疲労感

睡眠不足や慢性的な痛みによる全身の倦怠感

睡眠障害、慢性疼痛による精神的・身体的ストレス

背中の痛みを起こす主な疾患

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折脊椎圧迫骨折は、特に高齢者に多く見られる骨粗鬆症などの背景下で発生する、椎体が潰れたり圧迫される骨折で、急性の激しい背中の痛みや身長低下、機能障害を引き起こします。

迅速な診断と適切な治療(保存療法または手術療法)が、後遺症の防止と生活の質(QOL)の向上に不可欠です。

高齢者に多い骨粗鬆症は、骨密度の低下を引き起こし、椎体が容易に圧迫骨折を起こす要因となります。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、脊椎圧迫骨折は特に高齢女性に多く、骨粗鬆症による骨折の代表的な例とされています。

転倒や軽微な外傷が、既に脆弱な椎体に加わると、圧迫骨折が生じやすくなります。

国立国際医療研究センターの報告では、背中の圧迫骨折は外傷の有無に関わらず、骨の脆弱性が主な要因であることが示されています。

X線、CTなどの画像診断により、椎体の変形や圧迫の程度を正確に評価でき、治療方針の決定に役立つとされています。

以下の表は、脊椎圧迫骨折の症状、診断、治療の一例を示しています。

項目

具体例・説明

対応策・治療例

症状

・急性の背中の激しい痛み
・身長低下
・歩行や姿勢の変化

日常生活に大きな影響を及ぼす

診断

・X線検査:椎体の圧迫や変形の確認
・CT検査:骨折の詳細な評価

正確な骨折の重症度と部位の把握

治療法

・保存療法:鎮痛薬、背中の固定、理学療法
・重症例:椎体形成術、経皮的椎体形成術(PVP)

骨癒合の促進、痛みの軽減、機能の回復と後遺症防止

例えば、70代女性が転倒後に急激な背中の痛みと身長低下を訴え、X線検査で複数の椎体に圧迫骨折が認められたケースでは、保存療法として鎮痛薬と背中の固定、理学療法が開始され、症状の緩和と機能回復が図られました。

重症例の場合は、経皮的椎体形成術(PVP)などの手術療法が選択され、迅速な痛みの改善と骨の安定化が実現された事例もあります。

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアは、頚椎の椎間板が変性や外傷により突出し、近隣の神経根を圧迫することで、首や肩、腕に痛みやしびれ、可動域制限を引き起こす疾患であり、早期診断と適切な治療が症状改善と再発防止に不可欠です。

頚椎椎間板ヘルニアは、加齢や反復的な外傷により椎間板が劣化し、内部の核が外に飛び出すことで、神経根を圧迫して症状を生じさせます。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会のガイドラインによると、頚椎椎間板ヘルニアは中高年に多く、症状の重症度に応じた保存療法や手術療法が推奨されています。

多数の臨床研究で、早期の保存療法(薬物療法、理学療法など)と、必要に応じた手術療法が、神経圧迫の解除と機能回復に効果的であることが示されています。

以下の表は、頚椎椎間板ヘルニアの診断と治療の一例を示しています。

項目

内容・具体例

対応策・治療例

症状

・首や肩、腕に放散する痛み
・しびれ、筋力低下、可動域制限

神経圧迫による症状の現れ。日常動作に支障をきたす

診断

・問診と身体検査
・画像検査で椎間板の突出や神経圧迫を確認

正確な病変部位と重症度の評価、治療計画の策定

治療法(保存療法)

・NSAIDs、筋弛緩薬の内服
・理学療法、ストレッチ

炎症と痛みの軽減、機能回復の促進

治療法(手術療法)

・椎間板摘出または椎体固定術(症例により)

神経圧迫の根本的解除と機能回復の促進(保存療法で改善が不十分な場合)

例えば、55歳の男性が長期間のデスクワークと加齢による頚椎の変性で、首から肩、腕にかけてのしびれと痛みを訴え、MRI検査により頚椎椎間板ヘルニアが確認されたケースでは、初期はNSAIDsと理学療法による保存療法が行われたものの、症状が改善しなかったため、神経ブロック注射を実施し、その後、手術療法に切り替えることで痛みの大幅な軽減と機能回復が達成されました。

側弯症

側弯症は、背骨が横方向に曲がる変形性疾患で、背中の痛みや姿勢の悪化、呼吸や日常動作に影響を及ぼすことがあります。

早期の診断と適切な治療が、症状の進行抑制と生活の質(QOL)の維持に重要です。

側弯症は、背骨が横方向に曲がることで、筋肉や靭帯に不均一な負荷がかかり、局所的な痛みや慢性的な不快感を引き起こします。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料によると、側弯症は特に成長期の子供や高齢者に多く見られ、痛みだけでなく、姿勢の悪化や呼吸機能低下などの合併症が報告されています。

側弯症に対する理学療法、ブレース療法、場合によっては手術療法など、多角的な治療アプローチが、症状の改善と進行抑制に有効であることが、複数の臨床研究で示されています。

以下の表は、側弯症の症状と治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・背中の側面に痛み
・姿勢の悪化(背骨の曲がり)
・呼吸困難や疲労感

症状の進行度によって、生活の質に大きな影響を与える

診断

・問診、身体検査
・X線検査で背骨の曲線や変形の程度を評価

背骨の側弯角(Cobb角)の測定により重症度を把握

治療法

・保存療法:理学療法、姿勢矯正、ブレース療法
・進行例:手術療法(背骨矯正手術)

症状の改善、側弯の進行抑制、呼吸機能や姿勢の回復を目指す

例として、10代の思春期にある患者が、背骨の側弯角が初期段階であるにも関わらず、背中の痛みと姿勢の悪化を訴え、X線検査により側弯症と診断されたケースでは、早期に理学療法とブレース療法が開始され、その後の進行が抑えられ、日常生活での痛みが軽減されたという実績があります。

後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症

後縦靭帯骨化症および黄色靭帯骨化症は、脊椎の後部靭帯が骨化することで神経を圧迫し、背中の痛みや運動障害を引き起こす疾患で、早期の診断と適切な治療が症状の進行抑制と生活の質向上に不可欠です。

長期間にわたる慢性的な負荷や加齢により、後縦靭帯や黄色靭帯が骨化し、脊髄や神経根を圧迫することで、痛みやしびれ、運動障害が生じます。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料によると、これらの疾患は特に高齢者に多く見られ、早期診断と治療が神経障害の進行を防ぐために重要であるとされています。

X線、CT検査によって、骨化の範囲や神経圧迫の有無が正確に評価され、治療方針の決定に役立ちます。

以下の表は、後縦靭帯骨化症・黄色靭帯骨化症の症状と診断、治療の一例を示しています。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・背中や首、上背部の鈍痛やしびれ
・歩行時のバランス障害、運動障害

神経圧迫により、日常動作に支障が出る

診断

・X線、CT検査により、後縦靭帯や黄色靭帯の骨化の程度と神経圧迫を評価

骨化の範囲、神経圧迫の有無、変形の進行度を把握

治療法

・保存療法:鎮痛薬、理学療法、生活習慣改善
・重症例:外科的除圧や固定術

痛みの軽減、神経機能の回復、進行防止

例えば、70代の女性が転倒などの外傷や加齢による脊椎変性により、後縦靭帯および黄色靭帯の骨化が進行し、背中や首に慢性的な痛みとしびれを訴えたケースでは、画像検査により神経圧迫が明確に確認され、保存療法(鎮痛薬、理学療法、生活習慣の見直し)を中心に治療が行われた結果、症状の進行が抑えられ、生活の質が維持された事例があります。

重症例では、外科的除圧手術が検討され、神経圧迫の解除により痛みの改善が見込まれるケースも報告されています。

背中に異常を感じた場合には、
お気軽にご相談ください

リハビリテーション背中の慢性的な痛みは、圧迫骨折やヘルニアなど、進行させてしまうと日常生活に大きな支障を及ぼす障害につながることもあります。

骨粗鬆症がある高齢の方では、寝たきりになるリスクも高めてしまいます。

背中に痛みや違和感がある場合にはできるだけ早く整形外科を受診し、骨や筋肉、靱帯、腱、椎間板などに問題がないかを確認し、早期の治療につながることが重要です。

当院では、診察や治療はもちろん、理学療法士によるリハビリテーションもしっかり行っていますので、些細なことでも安心してご相談ください。

リハビリテーション