尿酸値が高い、
高尿酸血症(痛風)とは

高尿酸血症(痛風)とは、血液中の尿酸値が正常範囲を超えて高くなり、尿酸が結晶化して関節に沈着することにより、炎症や激しい痛み(痛風発作)を引き起こす状態です。
受診をお勧めする方
高尿酸血症(痛風)のリスクが高い方、または既に尿酸値が基準値を超えていたり、痛風発作を経験された方は、早期診断と適切な管理のために受診を強くお勧めします。
以下の表は、受診をお勧めする具体的なケース例を示しています。
対象 |
具体例 |
推奨理由 |
尿酸値が高い方 |
定期健康診断で男性7.0 mg/dL以上、女性6.0 mg/dL以上と判定された場合 |
数値が高い場合は、生活習慣改善と治療の必要性を早期に認識するため |
痛風発作を経験した方 |
急に足の親指に激しい痛みや腫れ、発赤が起こった場合 |
痛風発作は尿酸結晶の蓄積が原因。早期受診で再発防止が可能 |
生活習慣リスクのある方 |
アルコールの大量摂取、プリン体多い食事、肥満、運動不足の場合 |
これらは尿酸値上昇の要因。生活習慣の改善と医師の指導が求められる |
家族歴がある方 |
家族に高尿酸血症や痛風の既往がある場合 |
遺伝的要因によるリスクが高く、定期検査と早期の対応が重要 |
高尿酸血症の原因

高尿酸血症(痛風)の原因は、主に生活習慣の乱れ(高プリン体食品の過剰摂取、アルコールの大量摂取、肥満、運動不足)と、遺伝的素因や一部の内科的疾患による尿酸の排泄障害が複合的に関与しています。
以下の表は、高尿酸血症(痛風)の原因となる主な要因とその具体例を示しています。
原因カテゴリ |
具体例 |
影響・リスク |
高プリン体食品の摂取 |
レバー、内臓肉、魚介類、加工肉など |
尿酸の産生が増加し、血中尿酸値が上昇 |
アルコール摂取 |
特にビールやスピリッツなど |
尿酸排泄が低下し、尿酸値が上がる |
肥満・運動不足 |
カロリー過多、定期的な運動不足 |
インスリン抵抗性が上がり、尿酸の産生促進および排泄障害 |
遺伝的要因 |
家族に痛風や高尿酸血症の既往がある場合 |
遺伝的素因により尿酸代謝異常が起こりやすい |
内科疾患 |
腎機能障害、高血圧、糖尿病など |
尿酸排泄の障害や代謝異常により血中尿酸値が増加 |
たとえば、40代の男性で、普段からビールや高プリン体食品を頻繁に摂取し、運動不足で肥満傾向にある場合、尿酸値が上昇し、足の親指に激しい痛みを伴う痛風発作が発生するリスクが高まります。
高尿酸血症の診断基準と検査
高尿酸血症(痛風)の診断は、主に血液検査による尿酸値の測定が中心で、一般的には男性7.0 mg/dL以上、女性6.0 mg/dL以上が高尿酸血症と判断されます。
さらに、痛風発作が疑われる場合は、関節液の中に尿酸結晶が存在するかどうかの検査や、画像診断で関節の炎症や石灰化の有無を評価することも行われます。
以下の表は、診断に用いられる主要な検査とその基準値・目的の概要を示しています。
検査項目 |
目的・評価内容 |
基準値・目安 |
血液検査:尿酸値 |
血中の尿酸濃度を測定し、高尿酸血症の有無を判定 |
男性:7.0 mg/dL以上、女性:6.0 mg/dL以上 |
関節液検査 |
尿酸結晶の有無の確認。偏光顕微鏡での観察により痛風の確定診断 |
尿酸結晶が認められれば痛風と診断 |
画像診断(超音波/X線) |
関節の石灰化、骨侵食、炎症の評価 |
痛風の進行度や合併症の有無を把握 |
高尿酸血症の合併症
高尿酸血症(痛風)は、放置すると単に関節の炎症を引き起こすだけでなく、腎障害や心血管疾患、さらにはメタボリックシンドロームなどの重大な合併症を誘発するリスクが高まります。
以下の表は、高尿酸血症(痛風)の代表的な合併症とその影響例をまとめたものです。
合併症カテゴリ |
具体例・影響 |
説明 |
腎障害 |
腎結石、腎機能低下、慢性腎不全 |
尿酸結晶が腎臓に沈着することで、尿路結石や腎障害が進行する。 |
心血管疾患 |
心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化 |
高尿酸血症は動脈硬化を促進し、心血管リスクを増加させる。 |
メタボリックシンドローム |
肥満、糖尿病、高血圧など |
高尿酸血症とこれらの疾患は互いにリスクを高め合い、生活習慣病全体のリスクを上げる。 |
関節・軟部組織への影響 |
慢性痛風性関節炎、関節の変形 |
痛風発作の繰り返しにより関節が損傷し、長期的な関節障害を引き起こす。 |
例えば、50代男性が長期間にわたる高尿酸血症を放置した結果、腎結石を発症し、さらに心血管疾患リスクが上昇、生活の質が大きく低下したという症例が報告されています。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症(痛風)の治療は、急性期の痛風発作の緩和と、長期的な尿酸値の管理を目的とし、生活習慣の改善と薬物療法(抗炎症薬、尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬など)を組み合わせた包括的なアプローチで行われます。
以下の表は、急性期治療と長期管理の具体的な治療方法を示しています。
治療フェーズ |
主な治療内容 |
目的 |
急性期治療 |
・NSAIDs |
発作時の激しい炎症と痛みの迅速な軽減 |
長期管理 |
・尿酸生成抑制薬 |
尿酸値の安定化と再発予防、合併症リスクの低減 |
例えば、40代男性が痛風発作を経験した場合、急性期にはNSAIDsやコルヒチンを用いて痛みを抑え、その後、アロプリノールを用いた尿酸値管理とともに、生活習慣の改善(食事制限、運動、禁酒)を実施することで、再発防止と長期的な健康維持を図る治療プランが採用されることが一般的です。
痛風発作が起きているときの治療
痛風発作が起きている場合の治療は、急性期の炎症と激しい痛みを速やかに緩和することが最優先され、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルヒチン、そして副腎皮質ステロイドが主に使用されます。
患者様の状態や既往歴に応じて、最適な治療法を選択することが重要です。
以下の表は、痛風発作時に用いられる主な治療法とその特徴を示しています。
治療法 |
主な使用薬・方法 |
目的と効果 |
NSAIDs治療 |
インドメタシン、ナプロキセンなど |
炎症を迅速に抑え、痛みの軽減を図る |
コルヒチン治療 |
コルヒチン錠 |
尿酸結晶による炎症反応の抑制、発作の早期解消 |
副腎皮質ステロイド治療 |
プレドニゾロンなどのステロイド薬(経口または注射) |
NSAIDsやコルヒチンの禁忌がある患者での炎症・痛みの管理 |
たとえば、50代男性で痛風発作により足の親指に激しい痛みと腫れが出現した場合、医師はまずNSAIDsを用いて炎症を抑え、症状が強い場合にはコルヒチンやステロイドも併用して迅速に痛みを緩和する治療を行います。
よくある質問
高尿酸血症と痛風は同じ意味ですか?
高尿酸血症は血中の尿酸値が高い状態を指し、必ずしも症状が現れるわけではありません。一方、痛風は高尿酸血症の結果として尿酸結晶が関節に沈着し、炎症や激しい痛みを引き起こす病態です。
痛風治療中に気をつけるべき副作用や注意点は何ですか?
使用される薬剤(NSAIDs、コルヒチン、尿酸生成抑制薬など)には副作用があるため、定期的な血液検査や肝機能、腎機能のチェックが重要です。また、生活習慣の改善も継続的に行う必要があります。
痛風の再発を防ぐためには、どの程度の生活習慣改善が必要ですか?
再発防止のためには、低プリン体食の実践、適度な運動、アルコール制限、体重管理などの徹底した生活習慣の改善が必要です。これにより尿酸値を安定させ、発作の再発リスクを低減できます。
痛風治療における食事療法の具体的なポイントは何ですか?
低プリン体食の実践や十分な水分摂取、アルコール制限が基本です。たとえば、赤身肉や内臓、魚介類の摂取を控え、野菜や果物、全粒穀物を中心としたバランスの取れた食事を心がけることが推奨されます。
治療中の尿酸値目標はどのように設定されますか?
一般的には、痛風の再発防止を目的として、男性は6.0 mg/dL未満、女性は5.0 mg/dL未満を目標に治療が行われます。これらの目標値は、各種ガイドラインに基づいており、患者ごとのリスクや合併症の有無に応じて調整されることもあります。
痛風の発作を誘発する具体的な要因は何ですか?
急激な食事の変化や断食、アルコールの摂取、脱水状態などが痛風発作を引き起こす可能性があります。また、急激な体重減少や激しい運動も発作の引き金となることがあるため、生活リズムの急激な変化には注意が必要です。
体重管理は高尿酸血症の治療にどのように影響しますか?
肥満は尿酸の産生を促進し、また腎臓での尿酸排泄を低下させるため、高尿酸血症のリスクを高めます。適切な体重管理や減量は、尿酸値の改善に寄与し、痛風発作の再発リスクを低減する上で非常に重要です。
高尿酸血症(痛風)の治療において、サプリメントやハーブ療法は有効ですか?
一部のサプリメント(例:ビタミンC、チェリーエキス、オメガ3脂肪酸など)は、尿酸値の改善や抗炎症作用が期待されると報告されていますが、現段階では補助的な役割にとどまります。主な治療は医師の指導による生活習慣改善と薬物療法であり、サプリメントの使用は医師や栄養士と相談の上で行うことが推奨されます。
痛風発作後の再発防止のための生活指導はどのように行われますか?
発作後は、低プリン体食の継続、十分な水分摂取、適度な運動、体重管理、アルコール制限など、生活習慣の改善を重点的に指導されます。また、定期的な尿酸値のチェックと、治療薬の適切な調整も再発防止の鍵となります。