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指・手・手首の痛み

手や手首の痛みとは

手や手首の痛みは、指、手、手首に関連する筋肉、靭帯、腱、関節、神経などの軟部組織や骨に何らかの異常や損傷が生じることによって発生する症状で、外傷、反復動作、加齢、姿勢の悪さなどが原因として挙げられます。

長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用、繰り返しの動作による反復ストレスが、手首や指の腱炎、手根管症候群などを引き起こします。

外傷や捻挫、加齢による骨や関節の変性も、痛みや機能障害の原因となります。

厚生労働省や日本整形外科学会のガイドラインでは、手や手首の痛みは、労働環境や日常生活の姿勢が大きく影響することが報告され、早期の診断と治療が推奨されています。

症状の詳細な問診、身体検査、必要に応じた画像診断により、原因を特定し、最適な治療計画が立てられます。

以下の表は、手や手首の痛みの代表的な原因とその症状、対策の例を示しています。

原因・疾患

具体例・症状

対策・治療例

手根管症候群

手首のしびれ、指の痛み、特に親指~薬指にかけての感覚異常

安静、装具(スプリント)の使用、抗炎症薬、手術療法(重症例)

腱炎・腱板損傷

指や手首の動作時に鋭い痛み、腫れ、動かしにくさ

理学療法、NSAIDs、休息、場合により注射療法、手術

変形性関節症

加齢に伴う関節の痛み、可動域の低下、関節のこわばり

運動療法、鎮痛薬、理学療法、場合によっては外科的治療

外傷(捻挫や骨折)

急性の激しい痛み、腫れ、変形、機能障害

整復、固定、リハビリテーション、手術療法(必要な場合)

異常を生じる原因

指・手・手首の痛みは、外傷、過使用、変形性関節症、神経障害、腱炎、循環障害など多様な原因が複合的に作用し、局所の組織に損傷や炎症を引き起こすことから生じます。

以下の表は、指・手・手首の痛みの代表的な原因と、それぞれに対する症状や対応策の例です。

原因カテゴリ

具体例

症状・影響

対策・治療例

外傷・過使用

スポーツによる捻挫、反復動作によるテニス肘

局所の鋭い痛み、腫れ、機能低下

安静、アイシング、NSAIDs、理学療法

変形性関節症

加齢や慢性的な使用による関節軟骨摩耗

鈍痛、関節のこわばり、動作時の痛み

運動療法、鎮痛薬、関節内注射、場合により手術

神経障害

手根管症候群、肘部管症候群

手や指のしびれ、感覚異常、持続的な痛み

装具、薬物療法、理学療法、必要に応じて手術

腱炎・靭帯損傷

腱炎、腱板損傷

痛み、腫れ、動作時の痛み、握力低下

保存療法、理学療法、場合によっては手術療法

主な症状

指・手・手首の痛みの主な症状は、局所的な痛み、しびれ、腫れ、可動域の制限、そして筋力低下などがあり、これらは外傷、反復動作、加齢、神経圧迫や炎症などが原因で生じることが多いです。

以下の表は、指・手・手首の痛みの主な症状と、その背景にある原因、及び関連する症状の一例を示しています。

症状

説明

主な原因・背景

局所的な痛み

指や手首、手全体に鈍痛または鋭い痛みが生じる

外傷、腱炎、関節炎、反復動作による過使用

しびれ・感覚異常

指先や手の一部にしびれや感覚異常が認められる

神経圧迫(例:手根管症候群、肘部管症候群)

腫れ・炎症

局所的な腫れや赤み、熱感が伴う

急性の外傷や炎症反応、感染症など

可動域の制限

手や手首の動かしにくさ、動作時の痛み

関節の変性、腱や靭帯の損傷、筋の硬直

筋力低下

握力の低下や手の力が十分に発揮できない場合がある

長期的な炎症、神経障害、筋萎縮

代表的な疾患

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折橈骨遠位端骨折は、手首や指、手全体に激しい痛みや腫れ、機能障害を引き起こす骨折で、迅速な診断と適切な治療(保存療法または手術療法)が、正常な手首機能の回復と後遺症の防止に極めて重要です。

橈骨遠位端骨折は、転倒や衝突などの外傷により手首に大きな力が加わった場合に発生し、骨の部分的または完全な折損が生じる疾患です。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会の資料では、橈骨遠位端骨折は高齢者に多い転倒外傷の代表例として報告され、迅速な治療介入が推奨されています。

研究によると、適切な保存療法や、骨折の形状やずれの程度に応じた手術療法は、機能回復率を高め、長期的な障害を防ぐ効果があると示されています。

以下の表は、橈骨遠位端骨折の症状、診断、治療の一例を示しています。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・手首の激しい痛み、腫れ、変形
・指・手全体への放散痛、動かしにくさ

外傷直後に痛みと腫れが生じ、手首の動作制限が見られる

診断

・問診、身体検査
・X線検査により骨折部位とずれの確認

正確な骨折の形状や位置、ずれの有無を画像診断で評価

治療法

・保存療法:固定、リハビリテーション
・手術療法:骨折整復および固定(重症例)

症状に応じた治療選択で、早期回復と長期的な機能維持を図る

例えば、70代の女性が転倒により橈骨遠位端骨折を起こし、X線検査で骨折のずれが認められたケースでは、適切な保存療法とリハビリテーションを実施した結果、痛みが軽減し、日常生活への影響が最小限に抑えられた事例があります。

一方、重度のずれがある場合は、手術療法が選択され、術後のリハビリテーションを通じて機能回復が達成されました。

舟状骨骨折

舟状骨骨折は、手首の安定性に重要な舟状骨が外傷により骨折する状態で、適切な早期診断と治療が後遺症防止および機能回復に不可欠です。

舟状骨は手首の中心部に位置し、転倒や手をついて衝撃を受けた際に骨折しやすい骨です。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会の資料によれば、手首の骨折の中で舟状骨骨折は比較的頻度が高く、特に若年層や高齢者で見られるとされています。

舟状骨骨折は治療が遅れると、骨癒合不全や手首の不安定性、後遺症として慢性的な痛みや可動域制限につながるリスクがあるため、迅速な整復および固定治療が推奨されます。

X線検査は舟状骨骨折の診断において基本的な手段であり、場合によってはCTを用いて骨折の詳細な状態や、隣接部位の損傷の有無を評価します。

以下の表は、舟状骨骨折の症状、診断、治療アプローチの一例を示しています。

項目

具体例・説明

対応策・治療例

症状

・手首の激しい痛みと腫れ
・握力の低下
・動作時の不安定感

外傷直後に痛みと機能障害が現れ、日常生活に支障をきたす

診断

・X線検査で舟状骨の骨折を確認
・CTで骨折の細部評価

正確な骨折パターンと隣接組織の状態を把握

治療法

・保存療法:固定
・手術療法:骨折整復および内固定(ずれや不癒合が認められる場合)

骨癒合の促進と手首の安定性確保、長期的な機能回復を目指す

例えば、25歳の男性が転倒により舟状骨骨折を起こし、X線検査で骨折が確認されたケースでは、初期治療として固定が施され、数か月後に骨癒合が認められ、正常な手首の機能が回復した事例があります。

一方、骨折片のずれが大きい場合は、手術による整復と内固定が行われ、術後のリハビリテーションにより、機能回復と再発防止が図られました。

マレット指

マレット指は、主に外傷による指先の伸展腱の損傷や骨の剥離性骨折により、末節指の伸展ができなくなる状態で、早期の診断と適切な治療が重要です。

マレット指は、スポーツや日常生活での外力(例:ボールの衝撃、ドアの閉鎖など)によって、指先の伸展腱が引き裂かれるか、またはその付着部で骨が剥離することが原因です。

日本整形外科学会や厚生労働省の情報によると、マレット指は特に若年層やアスリートに多く、正確な診断と治療(保護固定や手術療法)が後遺症を防ぐために推奨されています。

多くの臨床研究で、早期治療により機能回復率が高いことが示されており、治療遅延が後遺症につながるリスクが高いと報告されています。

以下の表は、マレット指の症状、診断、治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・末節指の伸展不能
・指先に衝撃後の急激な痛みと腫れ

指先の固定と早期の治療が求められる

診断

・問診、身体検査(末節指の伸展検査)
・X線検査で骨剥離の有無を確認

腱断裂または剥離性骨折の正確な診断

治療法

・保存療法:スプリントやギプスによる固定(通常6~8週間)
・重症例:手術療法(腱の修復や骨折整復)

固定により腱の治癒を促し、正常な伸展機能の回復を目指す

例えば、20代のテニス選手がボールの衝撃を受けた際に、末節指の伸展ができなくなり、X線検査で小さな骨剥離が確認された場合、直ちにスプリント固定を行い、6~8週間の保存療法を実施した結果、正常な伸展機能が回復し、競技復帰が可能となった事例があります。

ばね指(弾発指)

ばね指(弾発指)ばね指(弾発指)とは、指の腱鞘炎により、指が正常に滑らかに動かず、曲げ伸ばしの際に「パチン」と弾くような現象が生じる状態で、初期は保存療法が有効ですが、重症例では注射療法や手術療法が必要となる場合があります。

ばね指は、指の屈筋腱が通る腱鞘内で炎症が生じ、腱が滑走しづらくなることで、指が引っかかり、伸展時に弾発する現象です。

日本整形外科学会や厚生労働省のe-ヘルスネットによると、ばね指は特に中高年や繰り返し動作を行う職業の人に多く見られ、初期治療としては安静、アイシング、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が推奨されています。

複数の臨床研究で、局所ステロイド注射や、場合によっては外科的な腱鞘切開が、保存療法に比べて高い治癒率を示すことが確認されています。

以下の表は、ばね指の症状と治療の一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・指を曲げ伸ばしする際に「パチン」と弾く感覚
・指の一部に局所的な腫れや痛み

日常動作や作業時に不快感を与え、手の機能に支障をきたす

診断

・問診、身体検査(指の動きの確認)

症状の確認と、腱鞘内の異常の有無を評価

治療法

・保存療法:安静、アイシング、NSAIDs
・局所ステロイド注射
・重症例:腱鞘切開手術

痛みの緩和、炎症の改善、指のスムーズな動作の回復

たとえば、45歳の事務職員が日常業務中に指の動作時の「パチン」とした感覚と痛みを訴え、問診と身体検査でばね指と診断されたケースでは、初期治療として安静とNSAIDsの使用、さらに局所ステロイド注射を実施した結果、症状が改善し、日常生活や業務に支障がなくなった事例があります。

手根管症候群

手根管症候群は、手首の手根管内で正中神経が圧迫されることによって発生する疾患で、手や指にしびれ、痛み、感覚異常、そして握力低下などの症状を引き起こします。

早期の診断と生活習慣の見直し、適切な治療により症状の改善が期待できます。

手根管は手首の狭いトンネル状の空間で、正中神経と腱が通っています。

長時間の手首の屈曲、反復作業、または不良な作業姿勢が、手根管内の圧力を高め、正中神経が圧迫されることで症状が現れます。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会の資料によれば、手根管症候群は成人の約10〜15%に認められ、特に女性に多く、長時間のコンピュータ作業や手作業がリスクファクターとして指摘されています。

画像診断は、正中神経の圧迫を客観的に評価するための標準的手法であり、保存療法(NSAIDs、手首装具、物理療法)や、重症例では手術療法が効果的であると多数の臨床研究で示されています。

以下の表は、手根管症候群の代表的な症状とその診断・治療アプローチの例です。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・手や指のしびれ、特に親指~薬指に集中
・夜間の痛みの増強
・握力低下

日常生活に支障をきたし、作業効率が低下

診断

・問診・身体検査(Tinel徴候、Phalenテスト)
・画像検査

正中神経の圧迫の有無を客観的に評価

治療

・保存療法:NSAIDs、手首装具、理学療法
・重症例:手術療法(内視鏡下手術など)

症状の緩和、正中神経の圧迫解除、再発防止

たとえば、50代女性が長時間のパソコン作業により手根管症候群を発症し、手指のしびれと夜間の痛みを訴えたケースでは、問診と画像検査で正中神経の圧迫が確認され、保存療法(手首装具とNSAIDs、理学療法)を行った結果、症状が大幅に改善し、日常生活の質が向上しました。

ドケルバン病

ドケルバン病は、手首の橈骨側(親指側)の腱鞘炎であり、特に反復的な手首や親指の使用によって、腱とその鞘が炎症を起こし、痛みや腫れ、機能障害を引き起こす疾患です。

長時間のスマートフォン操作、デスクワーク、手作業、スポーツなどにより、親指を動かす腱(伸筋腱)が繰り返し使われ、腱鞘に負担がかかることで炎症が生じます。

日本整形外科学会や厚生労働省のe-ヘルスネットの情報によると、ドケルバン病は特に中高年層や、反復動作を多用する職業の人々に多く見られ、適切な休息と治療が早期改善に寄与するとされています。

腱と腱鞘の摩擦や圧迫が原因となり、炎症性反応が誘発されることが、複数の臨床研究で示されています。

以下の表は、ドケルバン病の症状とその治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・親指の付け根から手首にかけての痛み
・腫れ、赤み、圧痛

日常動作での痛みの出現、特に握る、つまむ動作時に悪化

診断

・問診と身体検査(Finkelsteinテストなど)

正確な腱鞘の炎症の有無を評価し、ドケルバン病と確定診断

治療法

・保存療法:安静、アイシング、NSAIDs
・理学療法、ストレッチ、装具の使用
・重症例:局所ステロイド注射、場合によっては手術療法

炎症の軽減、痛みの緩和、腱の負担軽減、機能回復

例えば、40代の事務職員が、スマートフォンやPC作業による反復動作で親指の付け根に痛みと腫れを感じ、Finkelsteinテストで陽性反応を示したケースでは、保存療法(NSAIDs、アイシング、ストレッチ、装具使用)を実施した結果、症状が改善し、日常生活に支障をきたさなくなったという事例があります。

母指変形性CM関節症

母指変形性CM関節症(親指のCM関節症)は、主に加齢や過剰使用により母指の基節間関節が変性・摩耗し、痛み、腫れ、関節の不安定性、可動域制限などの症状を引き起こす疾患で、早期の診断と適切な治療介入が生活の質向上に重要です。

母指のCM関節は、日常の動作や反復する作業(例:スマートフォン操作、書類作業)による過度の負荷にさらされ、加齢とともに軟骨がすり減るため、変性が進行しやすいです。

日本整形外科学会や厚生労働省の情報によると、母指変形性CM関節症は特に中高年の女性に多く見られ、適切な保存療法と必要に応じた外科的治療が推奨されている。

複数の研究では、初期は薬物療法や理学療法、装具療法で改善が期待でき、進行例では関節鏡下手術などが効果的であると報告されています。

以下の表は、母指変形性CM関節症の症状、診断、治療アプローチの一例です。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・親指の付け根に局所的な痛み、腫れ
・指の可動域制限、関節の不安定感
・握力低下、物をつかむ際の違和感

日常生活での細かい動作や握力に支障が出る

診断

・問診、身体検査
・X線検査により関節間隙の狭小化や骨棘形成

正確な病態把握と治療方針の決定に寄与

治療法

・保存療法:NSAIDs、理学療法、装具療法
・進行例:関節鏡下手術、関節置換術

痛みの緩和、関節の安定性確保、機能回復を目指す

たとえば、55歳の女性が日常の書類作業やスマホ操作による母指付け根の痛みと握力低下を訴え、X線検査で関節間隙の狭小化と骨棘形成が確認されたケースでは、保存療法(鎮痛薬、理学療法、装具の使用)を中心に治療が行われ、数ヶ月で症状の改善と日常動作の向上が認められた事例があります。

ヘバーデン結節・
ブシャール結節

ヘバーデン結節とブシャール結節は、変形性関節症の一形態として、主に加齢や反復動作による関節軟骨の摩耗から骨棘が形成され、手や手首の痛みや可動域制限、握力低下を引き起こす疾患です。

早期診断と適切な治療が、症状の改善と機能の維持に重要です。

年齢の進行や日常の反復動作により、手や手首の関節軟骨がすり減り、骨と骨が直接接触することで骨棘が形成されます。

これがヘバーデン結節(指の遠位関節に発生)やブシャール結節(母指球部に発生)の原因となります。

日本整形外科学会や厚生労働省のガイドラインでは、これらの結節は中高年層に多く、手の機能低下や痛みを引き起こす主要な要因として位置づけられ、保存療法を中心に治療が推奨されています。

結節の形成は、手の動作や握力に影響を及ぼし、日常生活や労働でのパフォーマンスを低下させるため、早期の治療介入が望まれます。

以下の表は、ヘバーデン結節とブシャール結節の症状、診断、治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

ヘバーデン結節

指の遠位関節に小さな骨棘が形成し、硬く感じる
局所の痛みやこわばりが生じる

保存療法:理学療法、抗炎症薬、装具使用

ブシャール結節

母指球部に大きな骨棘が形成され、握力低下や痛みが現れる

保存療法:NSAIDs、リハビリ、サポーター使用、重症例は外科的介入

例として、60代女性が日常的な家事や細かい作業を続けた結果、指の遠位関節にヘバーデン結節が形成し、手指の動作時に痛みとこわばりを感じたケースでは、保存療法(理学療法と抗炎症薬の使用)で症状が緩和され、生活の質が改善された事例があります。

また、母指球部のブシャール結節により握力低下と痛みを訴えた患者様も、同様の治療により機能回復が見られました。

関節リウマチ

関節リウマチ関節リウマチは、自己免疫反応により手や手首の関節が慢性的に炎症を起こし、痛み、腫れ、こわばり、関節変形を引き起こす疾患であり、早期診断と適切な治療が関節破壊の進行を抑制し、生活の質の向上に寄与します。

関節リウマチは、自己免疫反応により関節内で持続的な炎症が発生し、軟骨や骨の破壊を引き起こす疾患です。

日本整形外科学会や日本リウマチ学会のガイドラインによれば、血液検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、ESR)や画像診断を組み合わせることで、正確な診断が行われます。

厚生労働省の資料では、関節リウマチは成人の約1%に影響を及ぼし、特に女性に多いことが示されており、早期の治療介入が重篤な関節破壊を防ぐために重要とされています。

以下の表は、関節リウマチの典型的な症状、診断方法、治療アプローチの例を示しています。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

手や手首の腫れ、持続する痛み、朝のこわばり(1時間以上)、関節の変形や機能低下

日常動作に支障をきたし、QOLが低下する

診断

・血液検査:リウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、ESRの上昇
・画像診断:X線で関節破壊、骨侵食の確認

免疫マーカーと画像診断を組み合わせ、確定診断を行う

治療法

・DMARDs(例:メトトレキサート)
・生物学的製剤
・理学療法、運動療法、生活習慣の改善

炎症抑制、関節破壊の進行防止、機能回復を目指す

例えば、50代の女性が手の痛み、腫れ、朝のこわばりを1時間以上感じ、血液検査でリウマトイド因子と抗CCP抗体が陽性、X線検査で手関節に骨侵食が認められた結果、関節リウマチと診断され、メトトレキサートと生物学的製剤、そして理学療法を組み合わせた治療により、症状が改善し、日常生活が大幅に向上した事例があります。

ガングリオン

ガングリオンは、手や手首に発生する良性の滑液包の腫瘤で、触診で柔らかく、痛みが伴う場合と無症状の場合があります。

多くの場合、自然に消失することもありますが、症状や機能障害がある場合には治療が検討されます。

ガングリオンは、手や手首の関節や腱鞘から漏れ出た滑液が、周囲の組織に包まれて嚢状になることで形成されます。

反復動作や外傷などにより関節や腱鞘に微細な損傷が生じることが背景にあるとされています。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会のガイドラインによると、ガングリオンは手首や手に頻繁に見られる良性腫瘤で、診断は臨床検査と画像診断で行われ、保存的治療が基本とされています。

多くの臨床研究では、ガングリオンは自然消退するケースも多く、症状が軽微な場合は経過観察が推奨され、痛みや機能障害がある場合は、穿刺吸引、場合によっては外科的切除が有効であると報告されています。

以下の表は、ガングリオンの症状と治療アプローチの一例です。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・手首に柔らかいしこり
・嚢状の腫瘤
・痛みや不快感を伴う場合と無症状の場合がある

腫瘤が大きくなり、日常動作に支障が出ることも

診断

・触診、視診
・画像検査で嚢胞性の構造を確認

正確な位置や大きさ、内容物の確認による診断

治療法

・保存療法:経過観察、サポーターの使用
・穿刺吸引
・外科的切除(再発・症状が重い場合)

痛みの緩和、機能障害の改善、再発予防

例えば、30代女性が手首に小さなしこりを感じ、画像検査でガングリオンと診断されたケースでは、症状が軽かったため、経過観察と生活習慣の見直しを行い、数ヶ月で自然に縮小した事例があります。

一方、症状が強く日常生活に支障が出ている患者には、穿刺吸引が施され、痛みの軽減と機能の改善が報告されています。

診断に必要となる
各種検査について

診断に必要となる各種検査について指・手・手首の痛みの正確な診断には、問診・身体検査に加えて、画像検査、血液検査など、各種検査を組み合わせる多角的なアプローチが不可欠です。

以下の表は、指・手・手首の痛みの診断における各検査の役割と実例を示しています。

検査方法

目的・評価内容

実例

X線検査

骨折、骨棘、変形性関節症など骨構造の異常を評価

40代男性の手首痛で骨折や骨棘が認められたケース

超音波検査

腱、靭帯、腱鞘の炎症や損傷の評価

テニス肘疑いの患者で、腱炎が確認された事例

MRI/CT

軟部組織、神経、関節内の微細な病変を詳細に評価

腱板損傷や神経圧迫が疑われた場合の精密診断

神経伝導速度検査

神経圧迫や障害の有無を評価

手根管症候群の診断で、正中神経の伝導速度低下が確認された事例

血液検査

炎症マーカーや自己免疫指標を測定し、炎症性疾患の鑑別

関節リウマチ疑いの患者でリウマトイド因子陽性が確認されたケース

治療について

指・手・手首の痛みの治療は、痛みの原因に基づく個別化されたアプローチが求められ、保存療法(薬物療法、理学療法、装具の使用、生活習慣改善)を基本とし、必要に応じて注射療法や手術療法を組み合わせることで、症状の緩和と機能回復を図ることが可能です。

以下の表は、指・手・手首の痛みに対する代表的な治療法とその目的を示しています。

治療アプローチ

主な内容

目的・効果

薬物療法

・NSAIDs(抗炎症・鎮痛薬)の内服
・局所消炎剤の使用

痛みの軽減、炎症の抑制

理学療法

・ストレッチ、筋力強化、温熱療法、マッサージ

姿勢改善、血流促進、機能回復

装具療法・サポート

・ブレース、サポーターの装着

負荷分散、安定性の向上、再発防止

注射療法

・局所ステロイド注射

炎症の急性期の迅速な抑制、症状改善

手術療法

・関節鏡下手術や腱修復術(重症例)

痛みの根本的改善、機能回復の促進(保存療法で効果不十分な場合)

例として、40代のオフィスワーカーが、長時間のデスクワークと反復動作による手首の痛みと可動域制限を訴えたケースでは、初期にNSAIDsと理学療法、装具療法を組み合わせた保存療法が実施され、数週間で症状が軽減し、日常生活での作業効率が改善された事例があります。

また、重度の腱炎や神経圧迫が認められた場合は、局所ステロイド注射が効果を示し、さらなる治療として手術療法が検討されたケースも報告されています。

手に異常を感じたらまずは
医療機関で相談することが大切

手は日常生活で非常に重要な役割を果たす部位であり、異常を感じた場合は早めの対応が重要です。

手はなかなか休めることが出来ません。

手首や指の不調を感じたら、整形外科での詳細な検査が不可欠です。

治療には安静が基本ですが、機能回復を促進するための適切な治療とリハビリテーションも重要です。

症状が進行して手術が必要な場合もありますので、状況を見極めるためにも早めの相談が重要です。