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股関節の痛み

股関節の異常は
日常生活動作・生活の質に
深刻な影響を与えます

股関節の異常は日常生活動作・生活の質に深刻な影響を与えます

股関節の異常は、歩行や階段昇降、立ち上がりなどの日常動作に深刻な影響を与え、生活の質(QOL)を大幅に低下させるため、早期の診断と適切な治療が極めて重要です。

股関節は歩行や体重支持、バランス維持において中心的な役割を担っており、異常があると、歩行困難や痛みにより日常生活での動作が著しく制限されます。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料によれば、変形性股関節症などの股関節疾患は高齢者に多く、股関節の異常がQOLの低下や介護状態への移行に直接関与していると報告されています。

多くの臨床研究で、股関節疾患の早期介入(保存療法、リハビリ、場合によっては人工股関節置換術)が、痛みの軽減と機能回復に有効であり、患者様の生活の質を大きく改善することが示されています。

股関節に異常を生じる原因

股関節に異常を生じる原因

股関節に異常を生じる原因は、加齢による変性(変形性股関節症)、外傷、先天性異常、炎症性疾患、血流障害(無血管性壊死)など、さまざまな要因が複合して影響し、これが痛みや機能障害、可動域制限につながります。

長年にわたる摩耗や軟骨の変性、骨棘の形成が、特に中高年において股関節に大きな影響を与え、変形性股関節症の発症に繋がることが、厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料で示されています。

転倒や交通事故などの外傷、または先天的な股関節形成不全(発育異常)は、股関節の構造に直接的な損傷を与え、後に変性を促進する要因となります。

リウマチ性関節炎や無血管性壊死など、免疫系や血流に関連する病態も、股関節に異常を生じ、痛みを引き起こす主な原因として報告されています。

以下の表は、股関節に異常を生じる代表的な原因と、それに対する症状や治療アプローチの一例です。

原因カテゴリ

具体例・症状

対応策・治療例

変形性股関節症

中高年に多く、股関節の軟骨摩耗、骨棘形成、痛み、可動域制限

保存療法(薬物療法、理学療法、体重管理)または、重症例は人工股関節置換術

外傷・先天性異常

転倒、交通事故による外傷、先天性股関節形成不全

外傷の場合は早期整復と固定、先天性は発育や機能評価に基づく治療計画

炎症性疾患・血流障害

リウマチ性股関節炎、無血管性壊死(特に若年性)

免疫調整療法、血流改善治療、場合によっては手術療法

例えば、65歳の女性が長年の体重負担と加齢により変形性股関節症を発症し、股関節の痛みと歩行障害が現れたケースでは、画像検査により軟骨の摩耗と骨棘が確認され、保存療法(鎮痛薬、理学療法、体重管理)で症状が改善し、必要に応じて人工股関節置換術が検討された事例があります。

主な症状

股関節の痛みの主な症状は、股関節周囲の鈍痛や鋭い痛み、可動域の制限、歩行障害、そして関節のこわばりなどで、これらは変形性股関節症、外傷、炎症性疾患など多様な原因によって引き起こされ、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。

以下の表は、股関節の痛みの代表的な症状とその背景、及び治療アプローチの一例です。

項目

具体例・説明

対応策・治療例

痛み

腰や股関節周囲に感じる鈍痛または鋭い痛み

保存療法での薬物療法(NSAIDs)、理学療法で痛み軽減

可動域制限

股関節の動きが制限され、屈曲・伸展が困難となる

理学療法や運動療法、場合により手術療法(人工股関節置換術)

歩行障害

歩行中のバランスの悪さ、歩幅の狭小化、足の脱力感

保存療法とリハビリテーション、運動療法による機能回復

こわばり

朝起床時や長時間の活動後に股関節が硬直する

温熱療法、ストレッチ、理学療法による改善

代表的な疾患

変形性股関節症

変形性股関節症変形性股関節症は、加齢、長期間の過負荷、肥満などにより股関節の軟骨が摩耗し、骨と骨が直接接触して骨棘が形成されることで発症し、痛みや可動域制限、歩行障害などを引き起こす疾患です。

適切な診断と治療介入により、症状の改善と生活の質(QOL)の向上が期待されます。

長年の過度な負荷や加齢に伴い、股関節の軟骨がすり減り、関節間の摩擦が増すことで骨棘が形成され、神経や周囲組織を刺激します。

体重負担が増すことにより、股関節にかかるストレスが高まり、軟骨の劣化が促進されるため、変形性股関節症のリスクが上昇します。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会のガイドラインによると、変形性股関節症は中高年に多く、適切な保存療法および手術療法が推奨されています。

NSAIDsや理学療法、運動療法、体重管理を含む保存療法が初期症状に効果的で、重症例では人工股関節置換術がQOLの向上に寄与することが示されています。

以下の表は、変形性股関節症の症状、診断、治療の一般的な流れを示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・股関節部の鈍痛や鋭い痛み
・可動域の制限
・歩行障害、階段昇降困難

日常生活や移動に支障をきたし、生活の質が低下

診断

・問診・身体検査
・画像検査で関節間隙の狭小化や骨棘形成の確認

正確な病変の把握と進行度の評価

治療(保存療法)

・NSAIDsの内服、抗炎症薬
・理学療法、ストレッチ、コアトレーニング
・体重管理、生活習慣の改善

痛みの軽減、可動域の拡大、症状の進行抑制

治療(手術療法)

・人工股関節置換術、関節鏡下手術(重症例)

神経圧迫の解除と機能回復、QOLの向上を目指す

たとえば、60代女性が長年の体重負担や不良姿勢により、股関節に慢性的な痛みと可動域制限を訴え、画像検査で軟骨摩耗と骨棘形成が確認されたケースでは、初期治療としてNSAIDs、理学療法、運動療法、体重管理を中心とした保存療法が実施され、痛みが軽減し歩行能力が改善されました。

重症例では、人工股関節置換術が行われ、術後のリハビリにより大幅な機能回復が達成されました。

股関節に
変形を引き起こす主な要因

発育性股関節形成不全
(先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全)

発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全)は、出生時または幼少期に股関節の構造異常が生じる疾患で、適切な早期治療が行われない場合、成長過程で股関節の不安定性や変形、そして後年の股関節痛や機能障害につながる可能性が高いため、早期診断と治療が極めて重要です。

発育性股関節形成不全は、股関節の臼蓋が十分に形成されなかったり、股関節が正しく位置決めされなかった結果、股関節の安定性が低下し、異常な荷重がかかることで、成長とともに痛みや変形、関節炎へと進行します。

日本整形外科学会や厚生労働省の資料によると、発育性股関節形成不全は、特に新生児期や幼児期に早期発見され、適切な整復やブレース治療が行われなかった場合、成人期に早期の変形性股関節症や股関節痛のリスクが増加することが報告されています。

未治療の状態が続くと、股関節の不安定性から関節軟骨の摩耗が進み、変形性股関節症へと発展するため、早期の診断と治療介入が患者の将来的なQOL(生活の質)の維持に直結します。

以下の表は、発育性股関節形成不全の症状、診断、治療の一例を示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・幼少期に股関節の不安定性や脱臼が確認される
・成長とともに歩行異常、股関節痛、歩行障害が発現することもある

発育期の早期治療が行われなければ、成人期に変形性股関節症へ進行する可能性が高い

診断

・新生児や幼児期の身体検査、超音波検査で股関節の整復状態を評価
・X線検査により臼蓋の形状や位置の異常を確認

早期診断により適切な治療計画(整復、ブレース治療、手術)が策定される

治療法

・保存療法:ブレース装着、物理療法、運動療法
・必要に応じた手術療法(股関節整復、骨切り術、人工股関節置換術)

早期の治療介入により、股関節の安定性と機能を維持し、将来的な関節変性を防止

たとえば、出生直後に超音波検査で発育性股関節形成不全が疑われた新生児が、早期にブレース治療を受け、適切に整復された結果、成長期において正常な股関節の発育が促進され、成人期における股関節痛や歩行障害の発症が回避された事例があります。

関節リウマチ

股関節の関節リウマチは、自己免疫反応による慢性的な炎症が股関節に影響し、痛み、腫れ、可動域制限、歩行障害を引き起こす疾患で、早期診断と総合的な治療が、関節破壊の進行防止と生活の質(QOL)の向上に不可欠です。

関節リウマチは自己免疫疾患であり、免疫系が関節の軟骨や骨に対して異常な攻撃を行うため、股関節にも炎症が波及し、痛みや変形が進行します。

股関節は体重支持の重要な関節であるため、炎症や破壊が進むと、歩行障害や日常動作に大きな影響を及ぼします。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本リウマチ学会のガイドラインによれば、関節リウマチは股関節を含む多関節に影響を与えることが知られており、早期治療が関節破壊の進行を抑制する上で重要です。

血液検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、ESR)と画像診断により、股関節の炎症や構造変化を正確に評価できるため、個々の症例に合わせた治療計画が立てられます。

以下の表は、股関節の関節リウマチに関する典型的な症状と診断、治療のアプローチの一例です。

項目

内容・具体例

対応策・治療例

症状

・股関節部の持続的な痛み、腫れ
・朝のこわばり、動作時の痛み
・歩行時の不安定感

日常生活に支障が出るため、早期の治療が必要

診断

・問診、身体検査による症状の評価
・血液検査でリウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、ESRの測定
・画像検査で関節破壊や軟骨摩耗を確認

正確な病態の把握と重症度の評価

治療法

・薬物療法:DMARDs(例:メトトレキサート)、生物学的製剤
・理学療法、運動療法、生活習慣改善
・痛み管理:NSAIDs

炎症抑制、関節破壊進行の防止、機能回復、QOLの向上

例として、55歳の女性が、股関節の痛みと朝のこわばり、歩行困難を訴え、血液検査でリウマトイド因子と抗CCP抗体が陽性、さらに画像検査で股関節の軟骨摩耗と骨棘形成が確認されたケースでは、メトトレキサートと生物学的製剤を用いた薬物療法、併せて理学療法や生活習慣の改善が実施され、痛みの軽減と歩行機能の改善が見られ、生活の質が大幅に向上した事例があります。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死症は、股関節の血流障害によって大腿骨頭の骨組織が壊死し、痛みや可動域制限、さらには股関節の崩壊や変形につながる深刻な疾患であり、早期診断と適切な治療が不可欠です。

大腿骨頭壊死症は、外傷、長期のステロイド使用、アルコール過剰摂取、自己免疫疾患などにより、股関節への血流が遮断されることで発症します。

血流不足により骨細胞が死滅し、骨組織の崩壊が進行します。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料では、大腿骨頭壊死症は、特に若年および中年層で見られる疾患であり、早期発見と治療が股関節の機能維持に極めて重要であると報告されています。

複数の臨床研究により、保存療法(薬物療法、理学療法)と、進行例では人工股関節置換術などの手術療法が、症状の緩和と機能回復に有効であることが示されています。

以下の表は、大腿骨頭壊死症の症状、診断、治療の一般的な流れを示しています。

項目

内容・具体例

対策・治療例

症状

・股関節部の激しい痛み
・歩行時の不安定感、可動域制限
・進行すると股関節の崩壊や変形

早期段階では軽度の痛み、進行すると重度の機能障害が出現

診断

・問診・身体検査
・X線検査で骨の形態異常
・MRIで骨の壊死や潰瘍化を確認

早期の血流障害と骨の壊死を正確に評価し、進行度を把握

治療(保存療法)

・薬物療法:血管拡張薬、抗炎症薬
・理学療法、運動療法、体重管理

痛みの緩和と、病状の進行抑制を目指す

治療(手術療法)

・関節形成術、または人工股関節置換術

痛みの根本的解消と股関節機能の回復を促す(進行例)

例として、40代の男性が、長期のステロイド使用やアルコール過剰摂取による大腿骨頭壊死症を発症し、初期の画像検査で骨の一部に壊死が認められたケースでは、保存療法を開始したものの、症状が進行し、最終的に人工股関節置換術が実施され、術後のリハビリテーションにより歩行能力と生活の質が大幅に改善された事例があります。

大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折は、主に高齢者に多く見られる外傷性の骨折で、股関節の痛み、歩行障害、さらには全身のバランス不良を引き起こすため、迅速な診断と適切な治療が、後遺症防止と生活の質(QOL)の向上に極めて重要です。

高齢者は骨密度が低下し、骨粗鬆症の影響を受けやすいため、些細な転倒や衝撃でも大腿骨近位部骨折が発生しやすくなります。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会の資料によると、大腿骨近位部骨折は高齢者における代表的な骨折であり、早期の介入が機能回復と合併症の防止に重要であるとされています。

多くの臨床研究で、保存療法や手術療法(内固定、人工股関節置換術など)が適切に行われると、早期の痛み軽減と歩行機能の回復が期待できることが報告されています。

以下の表は、大腿骨近位部骨折の症状、診断、治療アプローチの一例を示しています。

項目

具体例・説明

対応策・治療例

症状

・股関節部の激しい痛み、腫れ
・歩行困難、立ち上がりの障害
・身長低下や姿勢の悪化

外傷直後の急性痛みと、歩行や日常動作への大きな影響が認められる

診断

・問診、身体検査
・X線検査で骨折部位、ずれ、骨粗鬆症の有無を評価
・必要に応じCT検査で詳細評価

骨折の種類(部分骨折、全骨折)やずれの程度、周囲の骨状態を正確に把握する

治療法(保存療法)

・非手術療法:安静、ギプスまたはブレース固定、鎮痛薬、抗炎症薬

軽度の骨折やずれがない場合、自然治癒を促進しながら機能回復を図る

治療法(手術療法)

・内固定術、または人工股関節置換術(重症例や高齢者の場合)

骨折片の整復と安定化、早期の歩行機能回復および生活の質向上を目指す

例えば、70代の女性が転倒により大腿骨近位部骨折を起こし、X線検査で骨折部位のずれと骨粗鬆症が確認されたケースでは、保存療法(ギプス固定と薬物療法)で治療を開始したものの、機能回復が不十分であったため、人工股関節置換術が選択され、術後のリハビリテーションにより歩行能力と日常生活の質が大幅に改善された事例があります。

股関節周りにある筋肉の炎症

股関節周りの筋肉の炎症は、過度の使用、不良姿勢、急激な動作、外傷などが原因で発生し、腰部から股関節、さらには下肢にかけて痛みやこわばり、可動域制限を引き起こします。適切な治療と生活習慣の改善が症状の緩和に重要です。

長時間の座位や立位、運動中の不適切なフォームは、股関節周りの筋肉に持続的な負荷をかけ、微小損傷や炎症を引き起こす原因となります。

スポーツや日常生活での急激な動作、転倒などによる外傷も筋肉の炎症を誘発し、痛みを生じさせることが報告されています。

厚生労働省のe-ヘルスネットや国立国際医療研究センターの資料では、筋肉や腱の炎症は、整形外科的な疾患の中で頻繁に見られ、保存療法(休息、薬物療法、理学療法)が推奨されるとされています。

以下の表は、股関節周りの筋肉の炎症による症状と、その対策の一例を示しています。

項目

具体例・説明

対応策・治療例

症状

・股関節周辺の鈍痛や鋭い痛み
・動作時のこわばりや可動域の制限
・局所の熱感、腫れ

日常生活やスポーツでの動作に支障が生じる

原因の例

・長時間の座位や立位、反復動作による筋肉疲労
・急激な動作や転倒による外傷

筋肉の過剰使用、不良姿勢、急性外傷が主な要因

治療法(保存療法)

・休息、アイシング、NSAIDsなどの内服
・理学療法、ストレッチ、筋力強化

炎症の軽減と筋肉のリラクゼーション、機能回復を図る

生活習慣の改善

・作業環境の改善、適度な休憩の確保、姿勢矯正
・適度な運動の継続

再発防止と全体的な体調管理、QOLの向上

例えば、40代のオフィスワーカーが長時間のデスクワークと不良な姿勢により、股関節周りの筋肉に慢性的な炎症が発生し、腰から股関節にかけて鈍い痛みと可動域制限を感じたケースでは、NSAIDsや理学療法、ストレッチ、そして姿勢改善指導を中心とした保存療法を実施した結果、数週間で症状が緩和し、日常生活や作業効率が改善された事例があります。

診断に必要となる
各種検査について

診断に必要となる各種検査について股関節の痛みの診断には、問診・身体検査に加え、画像検査、血液検査など複数の検査手法を組み合わせる多角的なアプローチが不可欠であり、これにより原因の特定と最適な治療方針の決定が可能となります。

以下の表は、股関節の痛みの診断に用いられる各検査の役割と具体的な例を示しています。

検査方法

目的・評価内容

具体例・効果

問診・身体検査

症状の発現時期、痛みの性質、既往歴、可動域、局所圧痛などを評価

患者の生活習慣と痛みの関連性を把握し、疑われる疾患を絞り込む

X線検査

骨の変形、関節間隙の狭小化、骨棘形成などを確認

変形性股関節症の進行度や骨の状態を評価し、治療方針の基礎情報を提供

MRI/CT検査

軟部組織、骨、関節の詳細な状態、無血管性壊死や神経圧迫の有無を評価

無血管性壊死や炎症性疾患、骨折など、X線では見えにくい病変を検出

超音波検査

腱、靭帯、滑液包などの軟部組織の炎症状態をリアルタイムで評価

腱炎や滑液包炎などの軟部組織疾患の診断に補助的に利用

血液検査

CRP、ESRなどの炎症マーカー、リウマトイド因子、抗CCP抗体などを測定

炎症性疾患や自己免疫疾患の鑑別に役立ち、治療効果のモニタリングにも利用

治療について

股関節の痛みの治療は、痛みの原因と進行度に応じた多角的アプローチが必要で、保存療法(薬物療法、理学療法、運動療法、生活習慣の改善)を基本とし、重症例では手術療法(人工股関節置換術など)を検討することで、症状の緩和と機能回復、生活の質(QOL)の向上が期待されます。

股関節の痛みは、変形性股関節症、外傷、炎症性疾患、血流障害など多様な原因に起因するため、正確な診断に基づいた個別治療が重要です。

厚生労働省のe-ヘルスネットや日本整形外科学会のガイドラインによれば、中高年を中心とした股関節疾患は保存療法を中心に治療され、症状の進行が著しい場合には手術療法が推奨されています。

複数の臨床研究で、NSAIDsや抗炎症薬、理学療法、運動療法、体重管理などの保存療法が、痛みの緩和や機能回復に効果的であり、進行例には人工股関節置換術がQOL向上に寄与することが示されています。

以下の表は、股関節の痛みに対する治療アプローチの一例です。

治療アプローチ

主な内容

目的・効果

保存療法

・NSAIDs、抗炎症薬の内服
・理学療法、ストレッチ、運動療法
・体重管理、姿勢改善

痛みの軽減、関節の可動域拡大、症状進行の抑制

生活習慣の改善

・日常生活での姿勢改善
・適度な運動の習慣化
・体重管理と栄養バランスの見直し

長期的な関節負担の軽減、再発防止、QOLの向上

手術療法(重症例)

・人工股関節置換術、または関節鏡下手術

神経圧迫の解除、変形や痛みの根本的改善、機能回復の促進

例として、65歳の女性が変形性股関節症による慢性的な痛みと歩行障害を訴え、画像検査で股関節の軟骨摩耗と骨棘形成が確認された場合、初期治療としてNSAIDs、理学療法、体重管理を中心とした保存療法が行われた結果、痛みが軽減し、歩行能力が改善されました。

症状が進行した場合には、人工股関節置換術が検討され、術後のリハビリテーションによりQOLが大幅に向上した事例があります。

姿勢の悪さや肥満を原因とする
股関節の異常も多くみられる

姿勢の悪さや肥満を原因とする股関節の異常も多くみられる姿勢の悪さや肥満は、股関節に過度の負荷をかけ、変形性股関節症などの異常を引き起こす主要な原因となり、これにより腰や股関節の痛み、可動域の低下、歩行障害などが生じ、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。

長時間の猫背や前傾姿勢は、股関節に不均一な負荷をかけ、軟骨や関節に摩耗や変性を引き起こす原因となります。

肥満は体重負担を増加させ、股関節にかかるストレスを大幅に高めるため、関節軟骨の摩耗や骨棘形成が促進され、変形性股関節症のリスクが上昇します。

厚生労働省や日本整形外科学会の資料によれば、特に中高年層において、姿勢の悪さや肥満が原因で変形性股関節症が発症しやすく、これが歩行障害や慢性的な痛みにつながるとされています。

以下の表は、姿勢の悪さや肥満による股関節の異常と、その症状・治療の一例を示しています。

項目

具体例・説明

対策・治療例

症状

・股関節部の鈍痛、可動域の制限
・歩行時のバランス不良、階段昇降困難

長時間の不良姿勢と体重増加により、股関節に過剰な負荷がかかるため、痛みや機能障害が発生

原因

・デスクワークなどによる猫背や前傾姿勢
・肥満による体重負担の増大

姿勢改善と体重管理が不十分な場合、関節へのストレスが増加する

治療法

・保存療法:姿勢矯正、理学療法、適度な運動、体重管理
・薬物療法:NSAIDsなど

痛みの軽減、関節負担の低減、機能回復を目指す

例えば、45歳のオフィスワーカーが長時間のデスクワークで猫背になり、加えて肥満のために股関節に持続的な負担がかかり、歩行時に不安定感と股関節部の鈍痛を訴えたケースでは、姿勢改善プログラムと定期的な理学療法、そして体重管理を中心とした保存療法を実施した結果、症状が緩和し、歩行能力や生活の質が向上した事例があります。

股関節の痛みでお悩みの方は
当院にご相談ください

股関節の問題は、早期の治療開始により、軽度な変形は日常生活でのケアによる改善が期待できます。

ただし、一度変形が進むと元に戻すことは難しく、その進行を食い止めるか、症状を緩和する対症療法が基本です。

当院ではリハビリテーションだけでなく、自宅で行えるストレッチや日常生活における様々な動きの工夫についてもアドバイスしています。

股関節はほぼ全ての日常動作と連動するため、異常を感じたら早めに診察を受けることが大切です。

リハビリテーション