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インフルエンザ

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症で、毎年の季節性流行を引き起こすほか、変異株によるパンデミックのリスクも孕んでいます。

インフルエンザウイルスは主にA型とB型が存在し、A型は特に変異しやすく、時に世界的なパンデミックを引き起こすことがあります。

ウイルスの変異(抗原シフトや抗原ドリフト)により、毎年異なる株が流行するため、免疫が追いつきにくい状況が発生します。

潜伏期間

1~5日程度

原因

インフルエンザウイルス(主にA型、B型)

主な症状

高熱、咳、喉の痛み、鼻水、全身倦怠感、頭痛

流行時期

主に冬季(12月~2月頃がピーク

重症化リスク

高齢者、基礎疾患を持つ人、妊婦

対策

予防接種、手洗い、マスク着用、適切な休養

飛沫感染

インフルエンザウイルスは、感染者が咳やくしゃみをすると発生する微小な飛沫に含まれて放出され、これが他者の鼻・口・目から体内に侵入することで感染が成立します。

インフルエンザは飛沫感染が主な感染経路であるため、次の基本対策が不可欠です。

飛沫感染の基本対策
マスク着用:飛沫の拡散を防ぐ
手洗い・うがい:ウイルスの付着を防止
室内換気:ウイルス濃度の低減
予防接種:感染リスクの低減と重症化防止

接触感染

インフルエンザの接触感染は、ウイルスが付着した物体や手を介して他者に伝播する感染経路の一つであり、特に家庭や公共の場での衛生管理が重要です。

インフルエンザウイルスは、環境条件(温度や湿度)によっては数時間から数日間、ドアノブや机、リモコンなどの物体表面に生存することが確認されています。厚生労働省や国立感染症研究所の報告では、飛沫感染が主要な経路である一方、ウイルスが付着した表面を介して感染する接触感染のリスクも認識されています。

接触感染は、以下のプロセスで発生します。

  1. ウイルス付着:感染者が咳・くしゃみ、または手で鼻や口に触れた後、ウイルスが手や物体に付着する。
  2. ウイルス伝播:他の人がその物体に触れ、ウイルスが手に付着する。
  3. 侵入経路:その後、手で目や口、鼻を触ることでウイルスが体内に侵入する。

効果的な感染予防策は以下の通りです。

接触感染の感染予防案
手洗い・手指消毒の徹底:ウイルスが付着した手を洗い流すことが最も基本的な対策です。
共用物品の定期消毒:家庭や公共の場でのドアノブ、机、リモコンなどの消毒を行い、ウイルスの伝播を防ぎます。
顔に触れる習慣の見直し:手で顔に触れないよう意識することも感染防止に有効です。

インフルエンザに
感染してしまった場合

インフルエンザに感染した場合、速やかに医療機関を受診し、適切な抗ウイルス治療や症状緩和の対策を講じるとともに、他者への感染防止のために自己隔離を徹底することが重要です。

早期治療

推奨される対処法:発症後48時間以内の医療機関受診と抗ウイルス薬の投与

自己隔離

推奨される対処法:家庭内での接触を最小限にし、他者への感染リスクを低減

症状管理

推奨される対処法:十分な休息、水分補給、栄養摂取、必要に応じた解熱・鎮痛剤の使用

衛生管理

推奨される対処法:マスク着用、手洗い、共有物品の消毒

インフルエンザの種類

インフルエンザウイルスは、主にA型、B型、C型、(さらに動物由来としてD型もありますが)に分類され、季節性流行やパンデミックのリスクを左右するのは主にA型とB型です。

ウイルスの分類と特徴

ウイルスタイプ

特徴

人への影響

A型

サブタイプ(H1N1、H3N2など)を持ち、
変異性が高い

季節性流行およびパンデミックリスクがある

B型

変異性は比較的低い

季節性流行の主な原因

C型

軽度の感染、安定した性質

軽度の呼吸器症状が中心

D型

主に家畜に感染、
人への影響はほぼ確認されていない

現在のところ人への感染はほとんど報告されていない

インフルエンザの検査

インフルエンザの検査には、迅速診断キット、PCR検査、ウイルス培養検査などがあり、各方法には特徴と利点・欠点があります。
臨床現場では、症状や状況に応じて最適な検査方法を選択することが、早期診断と適切な治療開始、さらには感染拡大防止に繋がります。

検査方法の種類と特徴

検査方法

特徴

利点

欠点

迅速診断キット

約15分で結果が得られる

即時診断により早期治療が可能

感度が低く、
偽陰性のリスクがある

PCR検査

高感度・高特異性で正確な診断が可能

確実な診断ができ、
治療方針決定に有用

結果出までに時間と設備が必要

ウイルス培養検査

ウイルスの増殖を利用して詳細解析可能

ウイルス株の同定や抗原解析が可能

結果が出るまでに数日、
コストが高い

インフルエンザの治療

インフルエンザの治療は、発症後できるだけ早期に抗ウイルス薬を投与することが最も効果的であり、これに対症療法や十分な休息・水分補給などの支持療法が加わることで、症状の軽減や重症化防止、合併症のリスク低減につながります。

治療法

主な内容

利点

注意点・欠点

抗ウイルス薬

オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビルなど

早期投与で症状の軽減、重症化防止に効果的

発症後48時間以内の投与が望ましい

対症療法

解熱剤、鎮痛剤、十分な休息・水分補給

症状の緩和と快復を促進

根本的なウイルス除去は期待できない

支持療法

栄養管理、酸素投与(必要時)、入院治療

重症例や合併症の管理に不可欠

個別の患者状態に応じた対応が必要

インフルエンザの
予防接種について

インフルエンザの予防接種は、個人の感染リスクの低減と重症化防止、さらには集団免疫の形成を通じた社会全体での感染拡大防止に極めて重要な施策です。
そのため、流行シーズン前である10月~12月頃までの間に、インフルエンザワクチンを接種しておきましょう。

有効性のエビデンス

効果の実証

CDC(米国疾病予防管理センター)によると、インフルエンザワクチンは流行シーズン中のインフルエンザ感染リスクを約40~60%低減する効果があるとされています。

厚生労働省・国立感染症研究所のデータ

日本国内でも、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々において、予防接種が重症化や入院率の低減に寄与していることが報告されています。

公的機関の推奨

WHO

全世界でインフルエンザの季節性流行を抑制するために、定期的な予防接種を推奨しています。

厚生労働省

高リスク群を中心に、毎年のワクチン接種の実施を促し、集団感染の防止と医療機関の負担軽減に努める方針を示しています。

インフルエンザ予防接種の費用

任意接種

4,400円(税込)

※高齢者(65歳以上)の場合、市から発行される予診票を持参していただければ、自己負担額が減少します。

インフルエンザの予防

インフルエンザの予防は、予防接種、日常の衛生対策、マスク着用、咳エチケット、そして室内換気など複数の対策を組み合わせることで、個人の感染リスクを大幅に低減し、集団感染の拡大防止に寄与します。

予防策

内容

効果

予防接種

季節ごとに変動するウイルス株に対応したワクチンの接種

感染率・重症化率の低減、集団免疫の形成

手洗い

石鹸を用いてこまめに手を洗う

接触感染のリスクを低減

マスク着用

外出時や人混みでのマスクの着用

飛沫感染の防止

咳エチケット

咳やくしゃみ時に口と鼻を覆う

ウイルスの飛散を防ぎ、周囲への感染リスクを低減

よくある質問

インフルエンザと普通感冒(風邪)の違いは何ですか?

インフルエンザは高熱、激しい全身の倦怠感、筋肉痛などが急激に現れるのに対し、普通感冒は主に鼻水、くしゃみ、喉の痛みなど軽度の症状で、重症化することはほとんどありません。

なぜインフルエンザワクチンは毎年接種が推奨されるのですか?

インフルエンザウイルスは常に変異(抗原ドリフトや抗原シフト)するため、毎年流行する株が変わります。最新のウイルス株に対応したワクチンを接種することで、感染や重症化のリスクを効果的に低減できます。

インフルエンザが季節性で流行する理由は何ですか?

冬季は低温・乾燥の環境下でウイルスが安定しやすく、また人々が室内に集まりやすいことから、ウイルスの伝播が促進されます。これらの要因が重なり、冬季にインフルエンザが流行する傾向があります。

インフルエンザワクチンの副反応にはどのようなものがありますか?

一般的な副反応には、接種部位の痛み、赤み、腫れ、軽度の発熱、倦怠感などが含まれます。これらは通常、数日で解消し、重篤な副反応は非常に稀です。

インフルエンザワクチン接種後、効果が現れるまでの期間はどのくらいですか?

通常、ワクチン接種後約2週間で十分な免疫が獲得され、効果が発現するとされています。この期間を過ぎると、感染リスクの低減が期待できます。

ワクチンを接種してもインフルエンザにかかる可能性はありますか?

はい、ワクチン接種後でも感染する可能性はありますが、接種によって感染リスクや重症化リスク、合併症の発生率は大幅に低減されます。万が一感染しても症状が軽く済む傾向があります。

インフルエンザはどのくらいの期間で回復しますか?

多くの健康な成人の場合、適切な治療と休養により通常1~2週間程度で回復します。ただし、高齢者や基礎疾患を持つ方は、回復までにより長い期間を要することがあり、重症化や合併症のリスクも高まります。

インフルエンザ感染後、どの期間で他人に感染させる可能性がありますか?

一般的には、症状が出る1日前から発症後約5~7日間は感染性が高いとされています。特に小児や免疫力が低下している人では、さらに長い期間、ウイルスを他人に伝える可能性があるため、感染拡大防止のための注意が必要です。