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肩の痛み

肩の痛みとは

肩の痛み

肩の痛みは、肩関節周囲の筋肉や腱、関節などの軟部組織や骨、神経に起因する多様な症状で、長時間の不良姿勢、反復動作、外傷、加齢などが背景にあります。

信頼できる公的機関のデータやガイドラインに基づき、適切な診断と治療(保存療法、理学療法、薬物療法、場合によっては手術療法)が推奨され、早期介入によって症状の緩和と生活の質の向上が期待されます。

主な症状

肩の痛みの主な症状は、肩関節周囲の鈍い痛みや鋭い痛み、肩こり、可動域の制限、そして放散する痛み(腕や首へのしびれ)が挙げられます。

これらの症状は、肩周囲の組織の炎症、筋肉の緊張、腱板の損傷などが原因で発生します。

厚生労働省や日本整形外科学会のガイドラインでは、肩の痛みは主に中高年に多く、特に四十肩や腱板損傷の症例が多く見られると報告されており、これらの症状が日常生活や労働環境に大きな影響を与えることが示されています。

痛みの性質(鈍痛、鋭い痛み)や、肩こり、可動域制限、腕や首への放散痛といった症状が組み合わさることで、個々の患者様の生活の質(QOL)が著しく低下するケースが多く、これが治療介入の必要性を裏付けています。

以下の表は、肩の痛みの代表的な症状とそれに伴う病態の例を示しています。

症状

具体例・説明

関連する病態

肩の鈍い痛み

長時間のデスクワーク後に肩に感じる持続的な痛み

筋肉の疲労、肩関節周囲炎(四十肩

鋭い痛み

急な動作で発生する瞬間的な鋭い痛み

腱板損傷、急性の組織損傷

肩こり

日常的なストレスや不良姿勢による肩周囲の緊張とこり

筋筋膜性疼痛症候群、血行不良

可動域制限

肩の動きが制限され、腕の挙上や回旋が困難に

四十肩、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患

放散する痛み

肩の痛みが首や腕にまで広がり、しびれや違和感を伴う場合

神経根の圧迫、頚椎の変性

肩に異常を生じる原因

肩に異常を生じる原因は、筋肉や腱、関節、骨などの肩周囲組織に対する過剰な負荷や老化、外傷、姿勢不良、そして反復動作などが複合的に影響し、炎症や組織損傷を引き起こすことにより、肩の痛みや機能障害が発生します。

以下の表は、肩に異常を生じる主な原因と、それに伴う症状の具体例を示しています。

原因カテゴリ

具体例

影響・症状

過剰な負荷・反復動作

長時間のパソコン作業、スマホ操作

筋肉疲労、慢性的な肩こり、鈍い痛み

加齢・老化

中高年での肩関節変性、骨棘形成

関節の不安定性、可動域制限、慢性的な痛み

外傷

交通事故による肩の打撲、スポーツ中の急激な衝撃

急性の激しい痛み、炎症、腱板損傷、腱板断裂

姿勢不良

前傾姿勢、猫背、肩の左右のバランスの乱れ

筋肉の不均衡、肩の緊張、局所的な炎症

例えば、40代のオフィスワーカーが、長時間のデスクワークと不適切な姿勢のために肩こりと鈍い痛みを訴え、整形外科での評価により軽度の肩関節変性と筋肉の過緊張が確認されたケースでは、姿勢改善、ストレッチ、理学療法を中心とした治療が行われ、症状の緩和が見られました。

肩に異常を生じる原因は、過剰な負荷、加齢、外傷、そして不良な姿勢など、複数の要因が複合して肩周囲の組織に炎症や損傷を引き起こすためです。

これらの原因は、生活習慣の改善や適切な治療(理学療法、薬物療法、場合によっては手術)により対策することが可能です。

早期の原因特定と適切な治療介入が、肩の痛みの緩和と機能回復、さらには生活の質の向上に不可欠となります。

代表的な疾患

脱臼

肩の脱臼は、外傷や急激な衝撃によって肩関節が正常な位置から外れることで発生し、激しい痛み、関節の変形、運動制限を伴う急性の外傷性疾患です。

肩関節脱臼は、転倒、交通事故、スポーツによる衝撃などの外傷が主な原因となります。

肩関節は非常に可動域が広いため、過度の外力が働くと、関節包や靭帯が損傷し、関節が外れることがあります。

日本整形外科学会や厚生労働省のデータによると、肩脱臼は若年層やスポーツ選手に多く見られ、特に男性に高い発生率が報告されています。

これらの公的機関のガイドラインでは、早期の診断と適切な整復(関節の元の位置への戻し)が推奨され、再発防止のためのリハビリテーションも重要視されています。

以下の表は、肩脱臼の一般的な症状、診断、治療アプローチを示しています。

項目

内容・具体例

目的・効果

症状

・激しい肩の痛み
・肩関節の明らかな変形
・運動制限、腕の使いにくさ

早期診断のための目安

診断

・問診と身体検査
・X線検査で関節の位置や骨折の有無を確認

正確な脱臼の種類と重症度の把握

治療

・整復(関節の元の位置に戻す)
・固定、リハビリテーション

痛みの緩和、再発防止、機能回復

例として、30代の男性アスリートが転倒によって肩関節脱臼を起こし、急性期に整形外科で整復治療と固定を受けた後、理学療法やリハビリテーションにより、徐々に肩の機能が回復し、再発防止のためのトレーニングが行われたケースが報告されています。

石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にカルシウムが沈着し炎症を引き起こすことで、激しい痛みと運動制限をもたらす疾患で、早期の診断と適切な治療により、症状の改善が期待されます。

カルシウムの沈着は、腱板の変性や局所の血流障害が関与しているとされ、これが炎症反応を誘発し、肩の痛みや可動域制限を引き起こします。

日本整形外科学会や厚生労働省の資料では、石灰沈着性腱板炎は中高年に多く、肩の痛みの原因の一つとして認識され、X線による診断が標準的であると示されています。

臨床研究では、保存療法、物理療法などが効果的であると報告されており、これらの治療法が症状改善と機能回復に寄与することが確認されています。

以下の表は、石灰沈着性腱板炎の代表的な症状と診断、治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

目的・効果

症状

・肩の激しい痛み(特に夜間や腕を上げる時)
・肩の可動域制限

カルシウム沈着による炎症と機能障害の現れ

診断

X線検査や超音波検査により、腱板内のカルシウム沈着を確認

病態の客観的評価、治療方針の決定

治療アプローチ

・保存療法
・物理療法、リハビリ

炎症の軽減、痛みの緩和、機能回復

例えば、45歳の女性が肩の激しい痛みと運動制限を訴え、X線検査で腱板に明らかな石灰沈着が認められた場合、保存療法と理学療法を組み合わせた治療により、数ヶ月で痛みが軽減し、肩の可動域が改善された事例が報告されています。

肩関節周囲炎
(四十肩/五十肩)

肩関節周囲炎(四十肩/五十肩)は、主に中高年に多く見られる肩の慢性的な痛みと可動域制限を特徴とする疾患で、適切な理学療法や生活習慣の改善、場合によっては薬物療法により、症状の改善と機能回復が期待できます

加齢に伴う肩周囲組織の変性や血流の低下が、炎症を引き起こし、痛みや硬直をもたらします。

長時間の姿勢不良や運動不足、また反復動作による肩への負担も、四十肩・五十肩の発症リスクを高めます。

日本整形外科学会などのガイドラインでは、肩関節周囲炎は中高年に頻出する疾患であり、適切なリハビリテーションと治療法が推奨されています。

以下の表は、肩関節周囲炎の症状と治療アプローチの一例を示しています。

項目

内容・具体例

対応策

症状

・肩の鈍痛、特に腕を上げる動作時に激しい痛み
・肩の可動域制限、硬直感

痛みや動作制限により日常生活に支障が出る

診断

問診、身体検査、必要に応じた画像診断

症状と検査結果に基づき、四十肩/五十肩と診断される

治療法

・理学療法(ストレッチ、筋力トレーニング)
・鎮痛薬、抗炎症薬
・適切な休息と生活習慣の改善

症状の緩和と肩の機能回復、再発防止のための総合的治療

例として、45歳の女性が、肩を上げる際の激しい痛みと肩の硬直を訴え、診察と画像検査により四十肩と診断されたケースでは、初期の安静と鎮痛薬、続いて理学療法とストレッチを中心とした治療により、数ヶ月で可動域の改善と痛みの軽減が見られた事例があります。

四十肩について

腱板損傷/腱板断裂

腱板損傷/腱板断裂は、肩の可動域制限や激しい痛み、筋力低下を引き起こす深刻な疾患であり、早期の診断と適切な治療(保存療法、理学療法、場合によっては手術療法)が、機能回復と生活の質向上に極めて重要です。

腱板は肩関節の安定性を保つ重要な構造であり、加齢や過度の使用、反復動作により、腱板の微細な損傷や炎症が蓄積し、最終的に断裂に至ることが多いです。

保存療法(安静、鎮痛薬、理学療法)や手術療法(腱板修復術)の両方が、多くの臨床研究で効果的であると報告され、早期介入が長期的な機能維持に寄与することが示されています。

以下の表は、腱板損傷/腱板断裂の症状と治療アプローチの一例です。

項目

内容・具体例

目的・効果

症状

・肩の激しい痛み(特に腕を上げる時)
・可動域の制限
・筋力低下、しびれ

日常動作の障害、作業効率の低下

診断

・画像検査により、腱板の部分断裂や全断裂を確認

病変の正確な位置と範囲の把握、治療方針の決定

治療法

・保存療法:安静、鎮痛薬、理学療法
・手術療法:腱板修復術

痛みの緩和、機能回復、再発防止

例として、55歳の男性が長年の過剰な肩の使用と加齢により、腱板に部分断裂が認められ、画像検査で病変が明確に確認された場合、初期は保存療法を実施し症状が改善しなかったため、腱板修復手術が行われ、術後のリハビリにより肩の機能が大幅に回復したケースが報告されています。

肩こり

肩こり肩こりは、肩や首周辺の筋肉が過度に緊張し、血流障害や微小な組織の炎症が生じることで発生する症状であり、日常生活における姿勢の悪さや長時間の同一作業が主な原因です。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用によって、肩や首の筋肉が持続的に緊張し、血流が悪化することで、老廃物の排出が滞り、肩こりが発生します。

不適切な姿勢、運動不足、ストレスなどが肩や首の筋肉に負担をかけ、慢性的なこりや痛みにつながることが、各種統計や臨床データから示されています。

厚生労働省や日本整形外科学会の資料では、肩こりは現代人の代表的な生活習慣病のひとつとして位置付けられており、予防や改善には姿勢改善、適度な運動、休憩が推奨されています。

以下の表は、肩こりの主な原因と対策の一例を示しています。

原因

具体例

対策・治療法

長時間の同一姿勢

デスクワーク、スマホやパソコンの長時間使用

定期的な休憩、ストレッチ、環境の整備

姿勢の悪さ

猫背、肩をすくめた姿勢

姿勢改善エクササイズ、理学療法、整体

運動不足

日常的な運動不足

ウォーキングや軽い筋力トレーニングの実施

ストレス

精神的な負担や緊張状態

リラクゼーション法、十分な睡眠、適切なストレス管理

たとえば、40代のオフィスワーカーが、長時間のデスクワークによる猫背や肩のすくめた姿勢から、肩こりとともに首の痛みや頭痛を訴え、生活習慣の見直しと定期的なストレッチ、姿勢矯正の指導を受けた結果、症状が大幅に改善されたケースが報告されています。

野球肩

野球肩野球肩は、主に野球の投球動作に伴う過剰な負荷と反復動作によって、肩関節周囲の組織(特に腱板や関節唇)が損傷し、痛みや可動域制限、機能障害を引き起こす状態です。

早期の予防と適切な治療が、選手としてのパフォーマンス維持と長期的な健康に重要です。

野球の投球は、肩関節に非常に大きなストレスを与えます。

特に急激な回転運動や肩の外転・内旋動作が、回旋腱板や関節唇の損傷を誘発しやすいことが、複数の臨床研究で示されています。

日本整形外科学会の資料やスポーツ医学の研究によれば、野球肩は投球によるマイクロトラウマが蓄積し、慢性的な炎症や組織変性を引き起こすことが確認され、予防や治療のためのリハビリテーションプログラムが推奨されています。

プロ野球や高校野球、学生野球において、肩の痛みや機能障害は頻繁に報告されており、早期の診断と適切なリハビリ、場合によっては休養や手術療法が必要とされるケースが多くあります。

以下の表は、野球肩の主な症状、原因、治療アプローチの一例を示しています。

項目

具体例・説明

対策・治療法

症状

・肩の痛み(特に投球時やその後)
・可動域の制限
・筋力低下、疲労感

痛みやパフォーマンス低下を引き起こし、投球動作に支障をきたす

原因

・過剰な投球動作
・急激な回転動作による組織へのマイクロトラウマ

投球による繰り返しのストレスで、肩関節周囲の組織が損傷

治療・予防

・休養、投球制限
・理学療法(ストレッチ、筋力強化)
・リハビリテーション、場合により手術

症状の改善、再発予防、機能回復を図る

例として、20代後半の野球選手が、シーズン中に肩の痛みを訴え、医師の診察と画像検査で腱板の微小損傷が確認されたケースでは、投球量の制限、休養、理学療法を実施した結果、数か月で痛みが軽減し、再発防止のためのトレーニングが組まれた事例があります。

診断

問診肩の痛みの診断は、問診と身体検査、そして必要に応じた画像診断を組み合わせることで、原因を正確に特定し、最適な治療計画を立てるための基本的なプロセスです。

以下の表は、肩の痛みの診断プロセスの一例を示しています。

診断プロセス

内容・評価方法

具体例

問診

痛みの性質、発症時期、外傷歴、日常動作の確認

40代男性がデスクワーク後に肩の鈍痛と放散痛を訴える

身体検査

可動域、圧痛、筋緊張の評価

肩の前方挙上時に圧痛が増し、動作制限が確認される

X線検査

骨の変形、骨棘の有無の確認

肩関節周囲の骨棘形成や軽度の関節変性が認められる

MRI

回旋腱板損傷、軟部組織の炎症の評価

MRIにより回旋腱板の部分断裂や炎症が明確に示される

治療

肩の痛みの治療は、原因に応じた多角的なアプローチが必要で、保存療法(薬物療法、理学療法、姿勢矯正など)を中心に、症状が重い場合はインターベンションや手術療法を検討することが重要です。

肩の痛みは、肩関節周囲炎、腱板損傷、変形性頚椎症、外傷性疾患など多様な原因によって引き起こされます。

それぞれの原因に最適な治療を行うことで、痛みの緩和と機能回復が期待されます。

厚生労働省や日本整形外科学会のガイドラインによると、初期の肩の痛みは、鎮痛薬、抗炎症薬、筋弛緩薬などの薬物療法と、ストレッチや筋力強化、姿勢改善を目的とした理学療法で効果的に管理できるとされています。

症状が改善しない場合や、重度の構造的損傷が認められる場合、神経ブロック注射や、腱板修復術などの手術療法が必要とされるケースもあり、これらは症状の改善と長期的な機能回復に寄与します。

以下の表は、肩の痛みに対する代表的な治療アプローチとその目的を示しています。

治療アプローチ

主な内容

目的・効果

薬物療法

鎮痛薬、抗炎症薬、筋弛緩薬の内服または外用

急性期の痛みの軽減、炎症の抑制

理学療法

ストレッチ、筋力強化、温熱療法、マッサージ

姿勢改善、筋肉のリラクゼーション、可動域の拡大

姿勢矯正

作業環境の整備、姿勢改善エクササイズ

長時間の負荷軽減、再発防止、日常生活のパフォーマンス向上

インターベンション・手術

神経ブロック注射、腱板修復術、関節鏡下手術(重症例)

痛みの根本的改善、組織の再生促進、機能回復の促進

例として、40代のオフィスワーカーが長期間のデスクワークによる肩の痛みと可動域制限を訴え、まずは薬物療法と理学療法を実施した結果、痛みが緩和され機能が改善したケースがあります。

また、腱板損傷が疑われる重症例では、保存療法に加えて、腱板修復術が行われ、術後のリハビリテーションにより、肩の機能が大幅に回復した事例も報告されています。

その痛みは
本当に「肩」からの痛み?

私たちが「肩」と指し示す場所と、医学的な「肩」には微妙な違いがあります。

肩の痛みは「肩の関節部分が痛い」場合と「首から肩にかけての範囲が痛い」の2つに分けられることが多いです。

痛みの原因を特定し、他の病気が影響している可能性を考慮して正確に診断する必要があります。

肩こりの多くは実際には「首」からの影響が大きいことがあります。適切な診断を受け、早期に治療を始めることが重要です。

肩の痛みでお悩みの方は
当院にご相談ください

肩の痛みは急性期から積極的な炎症抑制の治療を行うことが効果的です。

そのため、肩に違和感を感じたら早めにご相談ください。

症状を放置すると関節が固まり、治療が長引く可能性があります。

当院では精密な分析、多様なリハビリテーションを提供しています。

理学療法士が丁寧に指導し、患者様一人ひとりに合わせた最適なプログラムを提案します。

何かお困りごとがありましたら、お気軽にご連絡ください。